物件購入の手順

不動産マーケットの取引制度が成熟しており、契約社会であるアメリカは、売主と買主のお互いの責任・権利が契約書類で守られています。買主の責任で物件を購入しますので、売買契約書に色々なコンティンジェンシー(条件)を付ける事ができます。従って、インスペクター(物件調査士)、アプレイザー(物件査定士)、エスクロー会社(預託)、タイトル会社(登記保険)等の専門分野の役割を把握しておく事が大切です。不動産業者は、お客様のご要望に合った物件を紹介し、契約書類を作成、クロージングが終了するまでのお手伝いをします。契約が開始してから、各専門分野の仕事の進み具合を監査し、クロージングが終了するまで円滑に進める事が業務となります。

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1.投資予算を決める
物件購入は現金かファイナンスかのどちらかですが、アメリカの銀行から外国人投資家向けのファイナンスを得る事は簡単ではありません。ローンが可能な場合、アメリカの住人より高い利息と頭金が要求されます。何れにしましても、ファイナンスの場合は銀行からのローンのプリ・アプルーブ(仮承認書)、現金で購入の場合は銀行の残高証明書、又は最新の銀行口座の明細書が必要となります。

2.物件検索
投資予算額が決まりましたら、その予算範囲内で物件検索を始めます。サイト内の検索ページでEmailとパスワードを入れて一度登録をして頂きますと売られている物件と明細を知る事が出来ます。気に入った物件が現れましたらご連絡下さい。出来る限り物件を見に行き、写真又は動画にてコンディションをお伝え致します。更に、オファーをされる物件の価値を分析、キャッシュフロー分析を致します。それらの情報を元にオファーの金額を決めて頂きます。

3.売買契約書の提出
コントラクト(契約書)の中に、購入金額、エスクロー金額(手付金、又は預託金)、クロージング日(登記日)、その他のコンティンジェンシー(条件)を明記して、売主に送ります。*物件のコンディションは表面上と違う場合がありますので、ホーム・インスペクションを条件に入れる事を強く勧めます。又、ファイナンスの場合はアプレイザルの評価額以下では購入しない追加条件も必要です。

4.売買契約書が受け入れられたら
手付金として、頭金の一部をエスクロー会社(通常タイトル会社)に入金致します。このエスクローは契約書に明記したコンティンジェンシー・ピリオド(条件期間内)に条件が満たさなければ返金されます。

5.ホーム・インスペクション(通常10日間)
ホーム・インスペクションで専門家を雇い、屋根、雨漏り、電気、水道、電化製品等全てのコンディションを調べてもらいます。又、シロアリのインスペクションも同時にお勧めします。インスペクションの報告書の結果次第で契約をこのまま続けるか破棄すかを決めます。両者(売主と買主)の同意により、修理箇所をクロージングまでに直す事を新たな条件に書き加え、契約を続ける事も可能です。破棄する場合は、エスクローを返金してもらいます。

6.ローン契約の場合
銀行が要求する必要書類を提出し、正式にファイナンスの手続きを始めます。アプレイザー(物件査定士)を雇って、物件の適正価格を評価してもらいます。物件の評価額までしか、ローンはおりません。万一、評価額が買値より低い場合は、その差額を売主か買主が補う、又は、買値価格を再交渉、或いは、契約を破棄の選択肢で進めます。

7.タイトル会社の役割、その他
タイトル会社は、登記簿の内容を確認し、抵当権・所有権の設定、税金や管理費の未払い分の確認等を行います。一軒家購入の際は、測量士を雇って土地の測量書を用意してもらいます。又、火災保険会社を決め、クロージング日から保険が有効となるようにしておきます。HUD STATEMENT(クロージングの書類)、売主と買主の全ての費用が明記されている書類を作成します。

8.クロージング
タイトル会社から提示された最終的に必要な金額を、タイトル会社の口座に送金、又は銀行の小切手(Certified Check)で支払います。売主と買主が全てのクロージング書類にサインする事により正式にクロージングが終了し、鍵を受け取ります。尚、日本国内にいてもクロージングは出来ますが、Notary Public(公証人)が必要となる書類もありますので、アメリカ大使館・領事館、又は公証人役場にてサインをして頂き、オリジナルを郵送して頂く事になります。